Perfume★ドームツアー「LEVEL3」レビュー
今回のドームツアーですが、最終的には全4公演の内、大阪京セラドーム1公演と、東京ドーム2公演に参戦しました。
大阪と東京の最終日はスタンド席から、東京初日はアリーナからで、全てファンクラブ席です。
本音を言えば、全てアリーナから観たかったですが、まあ色々な位置から観ることができたので、総括的レビューを書くには適しているかな、と自分を納得させて(笑)、では書かせてもらいます。
★
まず、大阪の会場に入って驚いたのは、そのステージの形。
僕の頭の中には、あの2010年の東京ドームの十字型のステージのイメージが強く残っていたので、てっきり今回は、それに手を加えるような形になるんだろうと、なんとなく思い込んでいたんですよね。
それが全く違った。
正面奥があくまでもメインステージで、その前に、ちょっと変わった形のサブステージ群とキャットウォークが広がる形。
よく見ると、09年のトライアングルツアー、そして11年のJPNツアーのステージの拡大変形版ということが、分かってくる。
いや、アリーナ席後方に(最初は幕で隠してあるけど)さらにサブステージがあるということは、JPNの埼玉スーパーアリーナ公演の進化版かな。
2010年東京ドームは、とにかく広い会場だということで、隅々の観客にも近づけるようにと、キャットウォークを十字に思い切り広げたのはいいけれど、その結果、3人のパフォーマンスが拡散してしまった、という問題があった。
その時の反省(?)を生かし、今回のツアーも会場の規模は大きいけれど、無用なチャレンジはせず、これまで自分たちがやってきたスタイルをベースとしたライブをしよう、というチームPerfumeの意図が、このステージからだけでも読み取れるような気が。
結果から書いてしまうと、このステージセットは、ある意味成功だったと思います。
サブステージ間の距離も、各所にPerfumeの3人が散っていても、2010年の時よりは近く、お互いがお互いのパフォーマンスを確認しながらやっている感じだったし、観客の側も、例え一人に目が行っていても、他の二人をなんとなく意識できるような、ぎりぎりの距離感。
ちょっと面白かったのは、MCの時に、サブステージの端と端に散った三人が、マイクを通さずに肉声で、お互いを呼び合うというおふざけをやっていたこと。
そんなことは、2010年の時はできなかったでしょうね、恐らく。
ただその結果、パフォーマンスの中心軸というか重心は、どうしてもアリーナ前方に偏ってしまったのは否めない。
それはもう、肉体で実感しています。
東京初日、僕はアリーナCブロックにいたけれど、まるで天国の真っ只中にいるような感じでした。常に自分が大きなPerfumeワールドに包まれているような感覚。
それと比べると、スタンドにいた残り二日は、その天国を外から眺めている感じ、とでも書けばいいかな。
それくらいの差です。
さっきも書いたアリーナ後方のサブステージやら、移動するパフュームカーもあったけれど、それで補填できるような差じゃない。
でもまあ、しょうがない。Perfumeがドーム規模の会場でライブをやるなら、今回のようなステージセットが、最善の方法なんでしょう。
僕はこのブログに何回か書いているけれど、そもそもドーム会場という場所が、Perfumeのパフォーマンスにとって良き会場ではない、という考えには変わりありません。
仮に今回のステージセットを、横浜アリーナクラスの会場に持ち込んでライブをやったとしたら、会場全体が天国になりますよ、それは間違いない(笑)。
★
さて、物理的な会場の話は終わりにして、後は中身のこと。
ファンの多くが分かっていたし、Perfume本人たちもライブ中のMCで語っていた通り、今回のドームツアーは、アルバム「LEVEL3」の楽曲が、セットリストの大半を占めておりました。
いや、正確には、ドームツアーのサウンドトラックとして、「LEVEL3」が作られたようなものだから、そうなるのも当然か。
ただ、「LEVEL3」は発売時、珍しくもPerfumeサイドから「ダンスミュージックアルバム」と宣伝されていたので、
「こりゃあ、ドーム会場を、レイブパーティみたいにしてしまう気なのかあ?」
と、僕は事前に変な期待を持っていたのですが(笑)、そうではなく、観客の下半身を動かせるというよりは、どちらかと言えば視覚に訴えるライブになっていたなあ、というのが正直な感想であります。
(大阪では事前に「ジャンプしないで下さい」という注意書きまでもらっていたし(笑))
あの「PartyMaker」も、「こいつで客を煽りに煽って、ドームを巨大クラブにするつもりなんだろう」と事前に思ってたんですが、実際は、派手な仕掛けを使った完全な視覚重視のスペシャルステージでした。
いやね、正直、「PM」を使って、新たなPTAコーナーを作るんじゃないか、くらいの予想を立てていたんですがね、まあハズレです。
(東京公演の前々日に、クラブageHaでヤスタカ先生が「PM」をかけていたのですが、その時の方が、よほど観客は踊り狂っておりました。ま、当たり前か(笑))
ライゾマティクスがスタッフに加わって以降、視覚効果に重きを置くようになったPerfume。
三人の繊細なコレオグラフなど観客席から観ることのできない、ドーム公演ならなおの事、その視覚効果の数々に、様々な工夫を施し、かつかなりの完成度で持ってきたのは、まあさすがと思います。
その場、つまり会場にいるファンの3D映像を速攻で作成して、それをやはり映像のPerfumeがつまみあげる、なんていうライゾマさんらしい仕事には、まあ正直驚きました。
(例のヨーロッパ等で披露した、プロジェクションマッピングも、やはり持ってきましたね。映像では散々観てきたはずなのに、改めて生で観ると、その美しさには圧倒されます。ただし、近くから、という条件付きですが。遠方のスタンド席からだと、ああ、やってるなあ、くらいで、ちょっときつい)
★
そんな視覚効果満載のライブでしたが、さて、振り返ってみると、自分の頭に残っているのは、いつものグダグダトークだったり、PTAコーナーだったりしているのが、不思議です。
いや、今回のドームツアーが、それだけPerfumeらしいステージだった、ということなんでしょうね。
中田ヤスタカの斬新な音楽があり、MIKIKO先生の天才的な発想のコレオと演出があり、スタッフの持ち込む最新鋭の技術がその背景を支えているせいか、Perfumeというのは「常に時代の先を行っているグループ」みたいな印象もありますが、一方で、とても保守的な面もあるグループなんだよなあ、ということを、今回のツアーで改めて認識させられました。
あれだけの新しい技術、演出、音楽を取り入れながらも、じゃあそれで、むちゃくちゃな新しいライブをやろう、ということは絶対にしない。
長い時間をかけて彼女たちが築き上げてきたライブの「スタイル」が、ガンとしてその土台にあって、それさえ守れれば、最新テクノロジーやらなんやらはトッピングとしてどうぞ、的な堅実さ。
その「土台」がぐらつきそうになったからこそ、あの「2010東京ドーム」で彼女たちはテンパってしまったんでしょう。
海外公演が、望まれながらも、その実現までこれだけの時間がかかってしまったというのも、その「土台」が海外でも成立できるか、確証がなかなか持てなかったから。
今回のツアーは、入念な準備の上に「土台は揺らがない」という確信を得られたからこそ、まるでレギュラーライブのようなあのリラックス感が生まれていたんでしょう。
★
最後に、ないものねだりを承知で、ちょっと言わせれもらえば、失敗覚悟でいいんで、これまでのライブスタイルを捨てた、新しいライブなんてものに挑戦してもらいたい、という気持ちもあります。
いや、チームPerfume自身も、そういうことを考えていない?
今回のドームツアーのラスト.
あえてアンコールというお約束ごとを捨てた「DreamLand」に、ちょっとそういう匂いを感じたんですが(笑)。
まあ、ドーム公演のような「絶対に失敗できない」ライブじゃ、冒険もしづらいので、小規模なライブで、例えば昨夏の「氷結サマーナイト」みたいな舞台を作って、なんかやらかしてもらえまんかね。
★ ★ ★
ちょっと、今回のライブで気になったこと。
東京最終日の最後、西脇さんがMCで、(正確な言葉は忘れたんだけど)また「Perfumeを見捨てんでね」的なことをポロっと漏らしていたんですよね。
(09年の代々木体育館ライブでの発言の、デジャブですわ)
まあ、やたら元気で自信満々だと思ったら、急に不安な表情を見せたりというのは、あの方にはよくある事なんで、あまり気にしてもしょうがないですが。
ご本人が唱えている例の「25歳理論」までもうじきだ、ということも、ちょっと気にはなっていますが、こうなったら景気づけに、「25歳記念生誕祭」みたいになバカ騒ぎライブでも、PTAを集めて決行してくれませんかね。
大阪と東京の最終日はスタンド席から、東京初日はアリーナからで、全てファンクラブ席です。
本音を言えば、全てアリーナから観たかったですが、まあ色々な位置から観ることができたので、総括的レビューを書くには適しているかな、と自分を納得させて(笑)、では書かせてもらいます。
★
まず、大阪の会場に入って驚いたのは、そのステージの形。
僕の頭の中には、あの2010年の東京ドームの十字型のステージのイメージが強く残っていたので、てっきり今回は、それに手を加えるような形になるんだろうと、なんとなく思い込んでいたんですよね。
それが全く違った。
正面奥があくまでもメインステージで、その前に、ちょっと変わった形のサブステージ群とキャットウォークが広がる形。
よく見ると、09年のトライアングルツアー、そして11年のJPNツアーのステージの拡大変形版ということが、分かってくる。
いや、アリーナ席後方に(最初は幕で隠してあるけど)さらにサブステージがあるということは、JPNの埼玉スーパーアリーナ公演の進化版かな。
2010年東京ドームは、とにかく広い会場だということで、隅々の観客にも近づけるようにと、キャットウォークを十字に思い切り広げたのはいいけれど、その結果、3人のパフォーマンスが拡散してしまった、という問題があった。
その時の反省(?)を生かし、今回のツアーも会場の規模は大きいけれど、無用なチャレンジはせず、これまで自分たちがやってきたスタイルをベースとしたライブをしよう、というチームPerfumeの意図が、このステージからだけでも読み取れるような気が。
結果から書いてしまうと、このステージセットは、ある意味成功だったと思います。
サブステージ間の距離も、各所にPerfumeの3人が散っていても、2010年の時よりは近く、お互いがお互いのパフォーマンスを確認しながらやっている感じだったし、観客の側も、例え一人に目が行っていても、他の二人をなんとなく意識できるような、ぎりぎりの距離感。
ちょっと面白かったのは、MCの時に、サブステージの端と端に散った三人が、マイクを通さずに肉声で、お互いを呼び合うというおふざけをやっていたこと。
そんなことは、2010年の時はできなかったでしょうね、恐らく。
ただその結果、パフォーマンスの中心軸というか重心は、どうしてもアリーナ前方に偏ってしまったのは否めない。
それはもう、肉体で実感しています。
東京初日、僕はアリーナCブロックにいたけれど、まるで天国の真っ只中にいるような感じでした。常に自分が大きなPerfumeワールドに包まれているような感覚。
それと比べると、スタンドにいた残り二日は、その天国を外から眺めている感じ、とでも書けばいいかな。
それくらいの差です。
さっきも書いたアリーナ後方のサブステージやら、移動するパフュームカーもあったけれど、それで補填できるような差じゃない。
でもまあ、しょうがない。Perfumeがドーム規模の会場でライブをやるなら、今回のようなステージセットが、最善の方法なんでしょう。
僕はこのブログに何回か書いているけれど、そもそもドーム会場という場所が、Perfumeのパフォーマンスにとって良き会場ではない、という考えには変わりありません。
仮に今回のステージセットを、横浜アリーナクラスの会場に持ち込んでライブをやったとしたら、会場全体が天国になりますよ、それは間違いない(笑)。
★
さて、物理的な会場の話は終わりにして、後は中身のこと。
ファンの多くが分かっていたし、Perfume本人たちもライブ中のMCで語っていた通り、今回のドームツアーは、アルバム「LEVEL3」の楽曲が、セットリストの大半を占めておりました。
いや、正確には、ドームツアーのサウンドトラックとして、「LEVEL3」が作られたようなものだから、そうなるのも当然か。
ただ、「LEVEL3」は発売時、珍しくもPerfumeサイドから「ダンスミュージックアルバム」と宣伝されていたので、
「こりゃあ、ドーム会場を、レイブパーティみたいにしてしまう気なのかあ?」
と、僕は事前に変な期待を持っていたのですが(笑)、そうではなく、観客の下半身を動かせるというよりは、どちらかと言えば視覚に訴えるライブになっていたなあ、というのが正直な感想であります。
(大阪では事前に「ジャンプしないで下さい」という注意書きまでもらっていたし(笑))
あの「PartyMaker」も、「こいつで客を煽りに煽って、ドームを巨大クラブにするつもりなんだろう」と事前に思ってたんですが、実際は、派手な仕掛けを使った完全な視覚重視のスペシャルステージでした。
いやね、正直、「PM」を使って、新たなPTAコーナーを作るんじゃないか、くらいの予想を立てていたんですがね、まあハズレです。
(東京公演の前々日に、クラブageHaでヤスタカ先生が「PM」をかけていたのですが、その時の方が、よほど観客は踊り狂っておりました。ま、当たり前か(笑))
ライゾマティクスがスタッフに加わって以降、視覚効果に重きを置くようになったPerfume。
三人の繊細なコレオグラフなど観客席から観ることのできない、ドーム公演ならなおの事、その視覚効果の数々に、様々な工夫を施し、かつかなりの完成度で持ってきたのは、まあさすがと思います。
その場、つまり会場にいるファンの3D映像を速攻で作成して、それをやはり映像のPerfumeがつまみあげる、なんていうライゾマさんらしい仕事には、まあ正直驚きました。
(例のヨーロッパ等で披露した、プロジェクションマッピングも、やはり持ってきましたね。映像では散々観てきたはずなのに、改めて生で観ると、その美しさには圧倒されます。ただし、近くから、という条件付きですが。遠方のスタンド席からだと、ああ、やってるなあ、くらいで、ちょっときつい)
★
そんな視覚効果満載のライブでしたが、さて、振り返ってみると、自分の頭に残っているのは、いつものグダグダトークだったり、PTAコーナーだったりしているのが、不思議です。
いや、今回のドームツアーが、それだけPerfumeらしいステージだった、ということなんでしょうね。
中田ヤスタカの斬新な音楽があり、MIKIKO先生の天才的な発想のコレオと演出があり、スタッフの持ち込む最新鋭の技術がその背景を支えているせいか、Perfumeというのは「常に時代の先を行っているグループ」みたいな印象もありますが、一方で、とても保守的な面もあるグループなんだよなあ、ということを、今回のツアーで改めて認識させられました。
あれだけの新しい技術、演出、音楽を取り入れながらも、じゃあそれで、むちゃくちゃな新しいライブをやろう、ということは絶対にしない。
長い時間をかけて彼女たちが築き上げてきたライブの「スタイル」が、ガンとしてその土台にあって、それさえ守れれば、最新テクノロジーやらなんやらはトッピングとしてどうぞ、的な堅実さ。
その「土台」がぐらつきそうになったからこそ、あの「2010東京ドーム」で彼女たちはテンパってしまったんでしょう。
海外公演が、望まれながらも、その実現までこれだけの時間がかかってしまったというのも、その「土台」が海外でも成立できるか、確証がなかなか持てなかったから。
今回のツアーは、入念な準備の上に「土台は揺らがない」という確信を得られたからこそ、まるでレギュラーライブのようなあのリラックス感が生まれていたんでしょう。
★
最後に、ないものねだりを承知で、ちょっと言わせれもらえば、失敗覚悟でいいんで、これまでのライブスタイルを捨てた、新しいライブなんてものに挑戦してもらいたい、という気持ちもあります。
いや、チームPerfume自身も、そういうことを考えていない?
今回のドームツアーのラスト.
あえてアンコールというお約束ごとを捨てた「DreamLand」に、ちょっとそういう匂いを感じたんですが(笑)。
まあ、ドーム公演のような「絶対に失敗できない」ライブじゃ、冒険もしづらいので、小規模なライブで、例えば昨夏の「氷結サマーナイト」みたいな舞台を作って、なんかやらかしてもらえまんかね。
★ ★ ★
ちょっと、今回のライブで気になったこと。
東京最終日の最後、西脇さんがMCで、(正確な言葉は忘れたんだけど)また「Perfumeを見捨てんでね」的なことをポロっと漏らしていたんですよね。
(09年の代々木体育館ライブでの発言の、デジャブですわ)
まあ、やたら元気で自信満々だと思ったら、急に不安な表情を見せたりというのは、あの方にはよくある事なんで、あまり気にしてもしょうがないですが。
ご本人が唱えている例の「25歳理論」までもうじきだ、ということも、ちょっと気にはなっていますが、こうなったら景気づけに、「25歳記念生誕祭」みたいになバカ騒ぎライブでも、PTAを集めて決行してくれませんかね。
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